パラパラ漫画制作行っているのは、事業形態として『個人』と『企業』の2つなのですが、皆さんはデジタルを使用して制作されています。一方の私はというと、紙に一枚一枚、手描きで行うアナログ方式です。私以外でアナログ方式を採用しているのは、あの有名な鉄拳さんくらいかなぁと思います。

そこで、今回は、「何故、私がアナログ方式を採用しているのか」と「アナログの長所・短所」について綴っていこうと思います。

 目が弱かったから

実を言うと、私も最初はデジタルでやるつもりでした。モンスタースペックのPCを友人に組んでもらい、フォトショップとアフターエフェクトをダウンロードして、準備万端!

いざ絵を描いてみると、「アレ?なんか目が痛いな…」。1週間程度、使用してみたのですが、目の奥に激痛が走るようになってしまったのです。泣
ディスプレイの光に弱いのが理由なのか分からないですが、私の目はデジタル作業に耐えられない代物だったのです。(5年前の話)

デジタル作業で目が痛い

 アナログ方式の長所

仕方なく始めたアナログですが、描いているうちに、デジタルには無い『良さ』に気付きました。

1つ目は、紙に人の手で直接描く為、『温かさ』が筆跡に宿ります。皆さんも何となく実感したことがあると思いますが、アナログメインで作り上げた「ジブリ作品」と最新の技術を駆使したデジタル作品を比べると『温かさ』の点で、違いが生まれます。

実際に、納品したお客様から言っていただける言葉として、「温かみがあって良い」というフレーズが1番多いです。この点は、デジタルでは表現できない領域だと思っています。

2点目は、描画の速さです。デジタルで描くと線の揺れや筆圧コントロール等、
繊細な部分がうまくいかない時がよくありますが、アナログはそのようなミスがほとんど無いので、描画速度は早くなります。(ペンのコントロールには鍛錬が必要ですが)

高速で何枚も同じような絵を描くことが求められるパラパラ漫画制作では、アナログ方式が強みとなる部分かと思います。

温かい絵のタッチ

 アナログ方式の短所

物事は何であっても、強みがあれば弱みがあります。私が実感したアナログの弱みを挙げていきます。

1つ目は、描いたものを複製できないことです。同じ背景が続くシーンでは、アナログだと同じものを何十枚も描くことになり、非常に時間がかかります。これは、精神的にも中々なダメージを与えます。

2つ目は、着色が綺麗に出来ない点です。アナログだと色を塗ると、どうしてもムラが発生してしまいますが、デジタルだとムラの無い色塗りがワンクリックで出来てしまいます。

3つ目は、やり直しがきかない点です。デジタルであれば戻るボタンでミスを無かったことに出来ますが、アナログは1発勝負で、ミスをすると全てやり直しになり、大変な時間のロスとなります。

早さを求められるパラパラ漫画ではやはり、デジタルに軍配が上がるので、大半の人がデジタル方式を採用するのは納得いきますね。

アナログ絵とデジタル絵の比較

 この先もアナログ方式を極める

ここまで、アナログとデジタルの長所と短所について記してきましたが、
私は身体の性質上、アナログという選択肢しかないので、今後も鍛錬を積み、
ひたすら腕を磨いていきたいと思います。時代(技術)の流れに逆行する無謀なチャレンジですが、どうか応援していただけると嬉しいです。