パラパラ漫画制作を運営している際に、一番多く寄せられる相談内容が「鉄拳さんのようなパラパラ漫画制作を依頼したい」というものです。パラパラ漫画の知名度を改めて向上させ、またCMなどビジネス利用が可能であることを周知させたという点において、鉄拳さんの制作活動は大きな功績と言うことが出来ます。

そこで今回は、鉄拳さんと同様に「紙に1枚1枚描くアナログ手法」によって作られるパラパラ漫画の特徴やストーリー構成・制作工程、依頼の際に気を付けたい事について、記していこうと思います。

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アナログパラパラ漫画の特徴

アナログの一番大きな特徴は、前述のとおり「温かさ」です。

手描きで絵を描くと、筆跡が曲がっていたり、ズレていたりして、デジタルのように綺麗ではありません。スマホの小さい画面で流す広告など、はっきりとしたビジュアルで情報を伝えたいときは、デジタルの方に適正がある場合も多いですが、視聴者がじっくりと観ることが予想される場面では、アナログ特有の温かい質感が味わえます。

これは私が制作活動を通しての考察ですが、ペンで紙に線を描くと、インクは滲みます。この滲みが温かさを出す原因の一つなのではないか、と思っています。デジタル(特にベクター線)で描くと滲みが少なく、クッキリとした印象を与えますが、温かさは減少します。また紙という物質自体が人の目に親和性が高いため、仮にデータ化してもその温もりが伝わるのではないか、と考えています。この部分はデジタルでは越えられない部分となっており、アナログの最大の強みと言えます。

アナログとデジタルの比較の画像

紙に1枚1枚手で描くアナログ手法は、大量の制作時間が必要となりますが、手描きでしか出せない温かい質感は唯一無二の作品に仕上がり、人の感情やストーリーの奥深さ等が表現できます。

感動するストーリー構成

ストーリー構成については、アナログとデジタルで特に差がある訳ではないので、ここでは「感動するストーリー」の作り方について述べていこうと思います。まずは私が実際に制作したアナログパラパラ漫画作品を観ていただきましょう。

ストーリーとしては、制作者である「私自身」とテレビで実際に観た「癌と闘う少年」の物語です。キャラクター設定、カットの順番、場面の移り変わりなど、細かいテクニック的なものは勿論あるのですが、ストーリー構成をする際に最も大切にしていることがあります。それは、「実体験」です。完全に空想で感動するストーリーも作ることはできますが、その分、難易度が上がります。しかし、「実体験」を上手く使えば、事実を形にするだけなので、余計な演出を入れる必要がなく、ストレートに視聴者へメッセージが届けられます。掲載した作品の前半の展開は主に実際に観た記憶をもとに作っています。(後半の宇宙への展開は空想です)

私がストーリー構成をする際は、過去の日常体験で似たような展開が無いか、記憶を探っていることが非常に多く、作品の至る所に私の実体験や記憶が散りばめられています。

アナログパラパラ漫画の制作工程

アナログのパラパラ漫画の作り方を簡単に記載しますので、「こんな感じで作っているんだ」と雰囲気が伝われば嬉しいです。実際の作業動画も掲載しましたので、ご覧ください。


①絵を描く原稿を手作業で裁断します。
自分に適したサイズにミリ単位で調整し、ひたすら裁断していきます。1作品で何百枚と裁断しなければならず、私はこの作業で肩を痛めたことがあります(泣)

原稿裁断工程の画像

②絵コンテの内容に沿って、原稿に描いていきます
当然ながら一番時間がかかる工程です。何百枚と描くので、「面倒くさい」などと考えていたら完成しません。心を「無」にします。実際に描いている動画はこちらから視聴できます。

原稿作成工程の画像

③描いた原稿を1枚1枚印刷機でスキャンします。
スキャンだけでも結構時間がかかります。原稿の順番に気を付けながら作業を進めます。

原稿スキャン工程の画像

④全てスキャンしたら、次は編集ソフトでデータを順に並べ、アニメーションを作成していきます。
私の場合、1コマずつ調整するので、とても見やすいパラパラ漫画に仕上がるのですが、結構大変です。

以上、簡単に説明しましたが、どの工程も地味な作業の繰り返し、膨大な時間がかかりますが、実際にアニメーションにした時、うまく動いているのを観ると、とても達成感があります。またそのパラパラ漫画が企業さんによって使用されるのをみると、「頑張って良かった」と思えます。

アナログパラパラ漫画制作依頼の際に気を付けたい事

アナログのパラパラ漫画制作はとても時間がかかるので、希望の期日がある場合は2、3か月前くらいから、ご相談するのが理想的です。良いアニメーションを作るには、制作時間に余裕があるほうが、良い仕上がりになりますし、お客様自身もキャラやストーリーが理想的かどうか、しっかりと検討した方が、満足度の高いお取引きができます。なので、依頼のタイミングは出来るだけ早くしましょう!

もう一つ気を付ける点は、アナログは制作後に変更があると、該当部分が全てやり直しになる危険性があるので、ストーリー決めや絵コンテの段階でガッチリ決めておくのが理想的です。気軽に修正をしようとすると、思わぬ修正費や制作期間延長など発生してしまうかもしれないので、事前に希望内容など明確にしておくのが良いでしょう。

アナログパラパラ漫画制作を検討されいる方へ

パラパラ漫画制作所では鉄拳さんと同じアナログ手法にも対応しており、国内でみても稀少な技術となっていますので、パラパラ漫画制作のを検討している方は是非ご相談ください。